2011年10月21日金曜日

大王製紙の井川前会長、マカオでカジノに20億円 遊興仲介業者聴取へ 東京地検特捜部


総合製紙大手の大王製紙の井川意(もと)高(たか)前会長(47)が連結子会社から巨額の現金を借り入れていた問題で、井川前会長がマカオに複数回渡航し、カジノのギャンブルで少なくとも20億円を使っていたことが20日、関係者の話で分かった。遊興費の原資の大半は子会社からの借入金とみられる。
 東京地検特捜部は、カジノでの遊興を仲介していた業者が、借入金の支出先の詳細を知っていると判断。この業者を週内にも聴取し、前会長が海外で使った資金の解明を目指す。
 仲介業者は客から現金を預かり、渡航チケットや宿泊先を手配。現地ではカジノで使う資金の立て替えなどを行う。関係者によると、前会長は数年前からマカオに渡航する際に、仲介業者に依頼。これまで5億円を4回にわたり入金し、ほとんどを使い果たしたこともあったという。
 前会長は9月末の大王製紙の特別調査委員会の聴取に対し、借入金の使途について明言を避け、その後は「調査委は経営陣側の意向に沿った結果を目指している」として聴取に応じていない。前会長は周辺に「借入金は個人的に使った。(借り受けが)特別背任にあたるとの認識はある。責任は免れない」と話しているという。
 前会長をめぐっては大王製紙が9月、子会社7社から総額84億円の貸し出しがあり、うち約55億円が返済されていなかったと発表。その後の調査委の調べで、昨年夏ごろ、84億円とは別に前会長の関連会社を迂(う)回(かい)させる方法で約22億5千万円の貸し出しがあったことも分かった。貸し出し総額は判明分だけで、計106億円超となる。井川前会長や親族は、所有する自社株などで全額を弁済する意向を示している。
 調査委は今月末をめどに、再発防止策を盛り込んだ調査報告書を取りまとめて公表する予定。調査委関係者は「創業者一族という力を背景にトップダウンで現金を借りた。そのことは(貸し出しを決めた)議事録などからもうかがえる」としている。調査委は一連の借入金全額を対象にして、会社法違反(特別背任)罪で、前会長を刑事告訴する方針を固めている。
 特捜部はすでに同法違反容疑で、前会長の立件を視野に子会社幹部らの聴取を開始。前会長名義の銀行口座の出入金記録や、子会社と交わした貸借を証明する書類なども調べている。

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