2011年9月5日月曜日

得意の英仏語で熊野古道を案内 遺体で発見の町長の長女「新婚旅行楽しみに」


和歌山県那智勝浦町の那智川の氾濫で自宅が流され、遺体で見つかった寺本真一町長の長女、早希さん(24)。寺本町長によると、4日朝に甥(おい)が死亡を確認したという。この日、早希さんは結納を控えていた。寺本町長は災害に関する情報収集や陣頭指揮のため庁舎で公務をこなし、同日午後10時ごろに遺体が安置された避難所で、娘と対面した。

真面目な「早希ちゃん」

 「30分くらい早希の横にいましたが、新しい情報が入っていたらいけないので町役場に向かいました。避難所は電話が通じないので…」
 早希さんの遺体は妻、昌子さん(51)の兄が引き取り、町内の寺に運ばれた。寺本町長は「検視を終えた後は兄の家で一晩、身内だけで過ごすつもりです」と言葉少なに語った。5日も災害復旧に向けた会議などこなす寺本町長は「本当は(結婚で)華やかに送り出すつもりだった。葬儀は静かに行いたい」とし、この日の公務が終えた後、再び、早希さんに会いに行くつもりだという。
早希さんが昨年8月から働いていた同町観光協会では5日朝、職員8人が冥福を祈って黙祷(もくとう)をささげた。
 早希さんは職場では最年少。同僚からは「早希ちゃん」と呼ばれ、かわいがられていたという。仕事ぶりは真面目。英語やフランス語が得意で、熊野古道などを訪れる外国からの観光客たちをもてなした。今春には町のホームページの英語版の制作にもかかわり、「よくある質問」コーナーを設けてからは、外国人観光客からの問い合わせが一気に減ったという。
 同協会事務局長の浦木慎一朗さんは「新婚旅行はどこに行くかなど楽しそうに話していたのが印象的だった。まさかこんなことになるとは。本当につらい」と目に涙を浮かべた。

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