2011年11月21日月曜日

大手証券OBに報酬百数十億円 資金流出で食いものに

オリンパスによる損失隠し問題で、英医療器具会社「ジャイラス」の買収を仲介した投資助言会社の代表ら国内大手証券会社のOB2人に計百数十億円の報酬が渡っていた疑いがあることが20日、関係者への取材で分かった。国内ベンチャー3社の買収に関与した同じ証券会社の別のOBや金融ブローカーにも100億円以上が流れていたとみられる。オリンパスは「資金の外部流出」を否定してきたが、損失隠しの指南や協力の見返りとして外部関係者に少なくとも200億円以上が流れていたことになり、証券会社OBや金融ブローカーらの食い物にされていた構図が浮かび上がってきた。
 同社の第三者委員会は、外部流出も含め詳しい資金の流れを調べている。
 平成20年のジャイラス買収でオリンパスは、米国の助言会社「アクシーズ・アメリカ」の資金管理会社である英ケイマン諸島の「アクザム」に報酬やジャイラスから助言会社に割り当てられた優先株の買い取り費用として計660億円を支出。その資金を還流させ、「飛ばし」によって、海外の投資ファンドに移していた財テクの含み損を穴埋めしたとみられている。
 アクザムはオリンパスが最後の支払いを済ませた3カ月後の22年7月に清算されたが、関係者によると、出資者であるOB2人が最終的に百数十億円を分け合ったという。
また、別の関係者によると、オリンパスはアクシーズを通じて同じ投資信託を繰り返し売買する取引を行い、その手数料としても多額の資金がアクザムに流れていた。損失穴埋めに還流させた後の残りの資金が、OB2人の報酬になったとみられる。
 一方、オリンパスは国内3社の買収に計734億円を投じたが、そのほとんどをケイマン諸島にある6つの投資ファンドに支払い、3社の株式を取得した。ファンドの立ち上げには証券会社OBや金融ブローカーがかかわっていた。
 オリンパスは21年3月期決算で、3社の株式価値が目減りしたとして、734億円のうち557億円を損失に計上した。この分が飛ばし損失の穴埋めに流用され、差額の約170億円がファンドに残ったとみられる。
 6つのファンドは、あらかじめ3社の株式を取得しておき、オリンパスに高値で売却した。3社はファンドの関係者が役員を務めていたり、休眠状態から事業を再開させたりした会社で、元手はかかっておらず、少なくとも100億円以上が見返りの報酬だった可能性がある。
 オリンパスは、解任した森久志前副社長の話として、「資金は外部に出ていない」と説明していた。

0 件のコメント:

コメントを投稿