2012年1月7日土曜日

中国「農民工」呼称見直し 2億5千万人の出稼ぎ「差別的だ」 社会不満の高まりで

中国で農村から都市への出稼ぎ労働者をさす「農民工」との呼称が「差別的だ」と批判され、見直す動きが出始めている。国営新華社通信によると、農村の多い河南省のトップ、盧展工党委書記が昨年12月20日、「なぜ農民だけが特定のレッテルを貼られるのか」と呼称を問題視したことがきっかけとなった。
 これに呼応するかのように、元日に湖南省で働く出稼ぎ労働者を見舞った温家宝首相は「産業労働者の主力軍だ」と持ち上げた。沿岸の広東省の汪洋党委書記も3日、「農民工」の呼称撤廃の検討を表明した。
 約2億5千万人の出稼ぎ労働者は都市部の経済を下支えしている。だが、農村と都市の住民を分ける戸籍制度があり、出稼ぎ先では医療など社会保障が受けられず、「農民工」は差別的な待遇を象徴する呼称にもなっていた。出稼ぎ労働者は都市部でストやデモの中心になるなど、社会への不満を急速に高めている。
 新たな呼称として「新市民」「新型契約労働者」などが提案されているが、ネット上では、「呼称変更だけでは何も変わらない。不平等な待遇や差別問題を先に解決せよ」などとする書き込みが相次いでいる。

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